『悪文 伝わる文章の作法』岩渕悦太郎 編著 角川書店(角川ソフィア文庫)2016年
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
はじめに
『文章の書き方』に続き文章の本!2冊目は、『悪文 伝わる文章の作法』にした。この本は、「カドブン夏フェア2022」で紹介されていた本である。もとは1976年に日本評論社から発売された『第三版 悪文』でさらにその初版は、1960年・・・・超ロングセラーである。
『文章の書き方』は、小説やエッセイなどの文章も守備範囲であるが、この本は、文章の巧みさのような領域には入らずに伝わる文章を目指しているようである。
今日のところは、「はじめに」である。ここには、この本を書く動機が書かれている。
まず、かつては美文が喜ばれた「美文時代」であったが、現在は、「悪文時代」であるとしている。平明な文章が好まれるようになったのは進歩だが、逆にあまり練られていない文章が増え、また、文書を書いていない人の文章も増えてきて、きちんとしていない文章が多くなっている。
本書は、このような問題意識をもとにどのような文章が「悪文=伝わらない文章」であるかを明らかにすることを目的としている。
私たちは、主として、この、受け取り手にわかるかどうか、わかりやすいかどうか、という観点から、現在行われている文章を検討してみた。そしてこの観点からした場合、悪文と考えられるものは、どういう所に問題があるかを明らかにしようとした。・・・中略・・・悪文と言われるのが、言語表現の上でどのような欠点があるためであるかを、出来るだけ具体的に示そうとした。私たちは、あらさがしを志したわけでは毛頭ない。どのような点に注意すれば、悪文と言われる範囲から抜け出せるかを、指摘しようと考えたのである。(抜粋)
関連図書:
『第三版 悪文 伝わる文章の作法』岩渕悦太郎 編著 日本評論社 1979年
『文章の書き方』辰濃和男著 岩波書店(岩波新書) 1994年
目次 はじめに [第1回] 悪文のいろいろ [第2回] わかりにくい文章 誤解される表現 堅すぎる文章 混乱した文章 構想と段落 [第3回] 段落なしは困る 改行しすぎは段落なしにひとしい 構想の立たない文章 構想のよくない文章 文の切りつなぎ [第4回] 長すぎる文はくぎる 判決文のまずさ ニュース放送のわかりやすさ すぎたるは及ばざるがごとし 歯切れのよい文章 文の途中での切り方 中止法のいろいろ [第5回] 長い文は読みにくいか 「そうして結合」をつないだ文 連用形による中止法 [第6回] 句読法 接続助詞の「が」 [第7回] 悪文としての中止法 文の筋を通す 首尾が整っていない [第8回] 省略がすぎる [第9回] 並べ方がまずい 副詞のおさめが悪い 助詞へのおさめが悪い 修飾の仕方 助詞のくりかえしと省きすぎ [第10回] 並列の一方を忘れた文 修飾語のかかり方が乱れた文 どこにかかるのか、わからない修飾語 離れすぎた修飾語 長すぎる修飾語 [第11回] はさみこみ 言葉を選ぶ [第12回] ひとり合点 「ように」の使い方一つでも 引っかかるつながり方 無知か、慣用の無視か あまりにも感覚的 イメージがちぐはぐ 敬語の使い方 皇室敬語の今と昔 [第13回] 敬語の三種と、そのきまり 敬語のつけすぎ [第14回] 敬語の誤用 [第15回] 敬語の不足 文体の不統一 [第16回] 悪文をさけるための五十か条 文庫版あとがき
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