『あなたを変える行動経済学』 大竹 文雄 著、東京書籍、2021年
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
はじめに
『行動経済学の使い方』を読み終わり、2冊目『あなたを変える行動経済学』に入った。(なぜ2冊目なのかは前著のはじめにを参照)。
この本は、著者が大手受験予備校の早稲田塾で行ったオンライン連続講義(課題図書:『行動経済学の使い方』)が元となっている。特に若い世代を念頭に、彼らの悩みに少しでも答えられるように、行動経済学の考え方とその応用例を示すのが目的となっている。
さて、課題図書も読み終わったし、より深く行動経済学を学べるかな?と期待しているところです。
本書の構成
- 序章:私たちの直観的意思決定が合理的な意思決定からずれてしまうことを紹介
- 第1章:合理的意思決定からのずれをサンクコスト(埋没費用)という概念を使って紹介
- 第2章:損を避けたい気持ちがバイアス(意思決定の歪み)をもたらすことを紹介
- 第3章:行動を先延ばしにする原因について
- 第4章:デフォルトの利用について
- 第5章:社会規範の利用について
- 第6章:より良い意思決定をするためのナッジという考え方について
- 第7章:仕事や勉強に行動経済学を応用する具体例
関連図書:大竹文雄(著)『行動経済学の使い方』、岩波書店(岩波新書)、2019年
目次
はじめに [第1回]
序章 直観が邪魔をする [第2回]
三つの問題を考えてください/アメリカの一流大学でも正答率は高くない/3問とも正解した人の特性は?/「錯視」と行動経済学
第1章 「もったいない」を考える [第3回]
あなたならどうしますか?/典型的なパターンはなぜ起きるのか/サンクコストは忘れることが大事/豊作でレタスを廃棄?/「サンクコスト」をよく理解する/ブレイクアウト・タイム①/オランダ語を捨てて英語を学ぶ?/二つの教訓/【Q&Aコーナー】
第2章 損失は避けたい [第4回]
どちらを選びますか?/安全策をとるか、ギャンブルをするか?/「損失回避」とは?/参照点にしがみついて非合理な意思決定をする/利得よりも損失を1.5~2.5倍大きく感じる/ブレイクアウト・タイム②/ポイントは参照点をどこに置くか/【Q&Aコーナー】
第3章 先延ばしの心理 [第5回]
どちらを選びますか?/「現在バイアス」とは/日本人の貯蓄目的は変わった/ライフサイクル仮説とは?/現在バイアス――意思決定と実行の乖離/老後貯蓄の現実と対策/ブレイクアウト・タイム③/「現在バイアス」があることを理解しておくことが大切/【Q&Aコーナー】
第4章 暗黙の選択の利用 [第6回]
復習――サンクコスト・損失回避・現在バイアス/「現在バイアス」の実験例1/「現在バイアス」の実験例2/「現在バイアス」にどう対処するか/デフォルトの設定次第で意思決定が変わる/ 「延命治療」か「緩和ケア」か?/デフォルトに類似した誘導方式/誘導で自死者を減らすことができる/ブレイクアウト・タイム④/レジ袋有料化は「デフォルト」と「損失回避」の組み合わせ/デフォルトの問題点/デフォルトとコミットメントの組み合わせ/【Q&Aコーナー】
第5章 みんながしています [第7回]
合理的な人とは?/純粋な利他性と不純な利他性/ヒューリスティックス/社会的選好と社会規範/社会規範と相対所得仮説/「自由放任」の考え方と行動経済学/社会規範についての研究/ボトルネックはどこにあったのか?/社会規範とコミットメントは有効な手段/限定合理性と数当てゲーム/フレーミング効果の事例/代表性ヒューリスティックと「リンダ問題」/あなたはどちらだと思いますか?/利用可能性ヒューリスティック/私たちの判断は「アンカー」に影響される/ブレイクアウト・タイム⑤/最初に見せる数字がポイントになる/まったく関係ない数字にも影響される/【Q&Aコーナー】
第6章 ナッジとは何か? [第8回][第9回]
ナッジとリバタリアン・パターナリズム/選択の自由を確保することが重要/大きな金額をかけないことも重要/「ナッジ」と「スラッジ」/ナッジ設計のプロセスフロー「BASIC」/ナッジのチェックリスト「EAST」/ナッジを選ぶ際のポイント/ボトルネックを引き起こす行動経済学的特性/行動のボトルネックの特性と対策/ダイエットはなぜ難しいのか/ダイエットのナッジ/社会規範と分かりやすさを使った残業削減ナッジ/ナッジに対する批判/デフォルトを用いた行政の取り組み例/男性職員の育児休業取得を増やす/後発薬を増やして医療費を下げた/人との接触を8割減らす10のポイント/ブレイクアウト・タイム⑥/「ナッジ」から見た三つの見出し/手指消毒のナッジ/はみ出し喫煙のナッジ/【Q&Aコーナー】
第7章 仕事や勉強の中の行動経済学 [第10回]
参照点とピア効果/正のピア効果と負のピア効果/スーパーのレジ打ちの「ピア効果」の研究/水泳選手の「ピア効果」の研究/「シーシュポスの岩」と「賽の河原の石積み」/意味のある仕事の重要性/「意味のある条件」と「シーシュポスの条件」/目標と行動のギャップを埋める/行動計画の効果を検証した研究/職探し研究の行動経済学的意味/ブレイクアウト・タイム⑦/賢く見える提案とは?/コミットメント・ピア効果・現在バイアス/コミットメントの設計は難しい/【Q&Aコーナー】
あとがき
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