『プロカウンセラーの聞く技術』 東山紘久 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
23 話し手の波に乗る
リズム感のある会話
前項で、グループでの対等な会話に必要なのは「バレーボールのパス回しの要領」(ココ参照)であると述べられた。そして、一対一の会話では、このパス回しにプラスして「リズム感」が必要である。
話し手のリズムに合わせて、話しやすい返事を返すのです。(抜粋)
反論せずに流れに乗る会話
このような会話をつづけるには、まず、流れに合う適切で豊富な相づちを打つことである。そして、重要なことは「反論しないこと」「逆の意見を言わないこと」「「でも」「しかし」「けれど」などの逆接の接続詞を使わないこと」である。
でも、相手が自分の意見と違う場合に一方的に聞いているだけでは、本当に話に乗っていないのではという意見もあるが、そのような時、聞き手であるあなたは聞き手のであることを放棄していることになる。いい話し手になることも立派なことであるが、人は話す方が好きであるからついつい話たくなってしまう。
では、相手の話に辛抱して聞いているのがよいのかというと、それでは相手の話に乗っていることにならない。相手の話に乗れないならば話からおりてしまえばよい。
プロのカウンセラーは、自分に興味のない話を聞いているのか。それは、プロのカウンセラーは、相手の話の内容よりも、どうして来談者がその話をするのかということに興味がある。つまりプロのカウンセラーの関心は、内容よりも来談者の行動にある。
もし、どうしてもあなたの興味のない話を聞かなければならないときは、プロのカウンセラーの聞き方を参照されたらいいと思います。(抜粋)
話し手の話題や内容だけでなく、話し手が語る感情や態度に乗れるように聞くことが大切である。
24 言い訳しない
抗議には言い訳をしない
ぐちの聞き方とその効果は、すでに述べられている(ココ参照)。しかし、自分に向けられたぐちは聞きにくい。「それは聞き手の言い分がある」からである。
「ぐちはなんらかの意味で、聞き手のコンプレックスに触れてしまいます。そのコンプレックスが話し手のコンプレックスと共通したものですと、話し手のぐちはますます激烈に、執拗になります。コンプレックスは、自分ではなかなか処理しがたい気持ちの複雑なからみあいですので、よけい聞きにくくなってしまうのです。(抜粋)
これが抗議となるとなかなか聞けなくなる。抗議には、非難のようなものもあるがその何割かは正当な理由をもっている。相手の抗議が正当であればこちらの態度を改める絶好の機会だが、抗議は相手の言い分が正当であればあるほど、素直に聞けなくなる。
そしてそのような時に聞き手が出してしまうのが言い訳である。この言い訳は、自己弁護や自己満足になっていても、相手の抗議する気持ちの解消には全く役に立たない。
自己弁護や言い訳をしない人が尊敬されるのですから、当然われわれは言い訳しない方が賢明です。(抜粋)
日常でよくある、軽い抗議やぐちでは、言い訳をせずにじっくり聞いて、自分に悪いところや落ち度があった場合は、あやまり償うことが大切である。とくに家族や友人など今後も継続的に親しい関係を必要とする人に対しては実行すべきである。
この後、具体的に電車が遅れて遅刻した時の例が示される。そして、そのような場合でも「電車が遅れた」という言い訳をせずに、率直に謝ることが必要であることが示される。このような場合でも言い訳は全く通じないからである。
約束を破ったときは、言い訳でなく、その一〇倍も約束を守ることによってしか信頼は回復されません。言い訳などせず、相手のぐちや抗議をよく聞いて、相手が何によってそれを償ったほしいかを理解し、それを実行する以外には道はないのです。(抜粋)
コメント