素直に聞くのが極意 / 聞き上手には上下関係なし
東山紘久 『プロカウンセラーの聞く技術』 より

Reading Journal 2nd

『プロカウンセラーの聞く技術』 東山紘久 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

15 素直に聞くのが極意

素直な聞き方

聞き上手の極意は「素直に聞くこと」である。この素直に聞くことは、簡単なようで難しく、訓練しないとできないものである。しかし、「相手に素直」であるのと、「自分に素直」であることを区別して訓練すれば、それほど難しいことではない

相手のことは、相手の思いのままに聞き、自分の思いは相手が聞くまで胸にしまっているだけです。相手が聞かない以上話す必要はありません。素直に聞くことは素直に話すこととは違います。(抜粋)

この素直に聞くは、自分が相手と同じことを言うのとはまったく違う、素直に聞くは同調することではありません。そして、「たずねる・質問する」とも違います。

たとえば、反抗期の子どもが「うちの学校の教師はアホなやつばっかりだ」と言った場合は、説教するのではなく、素直に聞く必要がある。「へぇ、おまえのところの教師はアホばっかりか?」と子どもの気持ちを「素直」に聞く、そして、子どもが「おやじもそう思うか」と突っ込まれた場合は、自分の意見をいわずに、こころのなかで「お前がそう思っているのだから、おまえにとってはそうなんだろう」と思って「そら、そうだ」と答えればよい。
子どもは、自分の気持ちを聞いてほしいだけで、意見を聞いているわけではありません。もし、意見を聞きたい場合は、それを直接たずねてきます。

「素直に」聞けないのは、自分の感情が話し手のそれに混同してしまうからです。話し手の意見は相手の意見であり、あなたの意見ではありません。これを「自他の区別」といいます。しっかり聞いていると、質問なのか、聞いてほしいだけなのか区別できます。わからない質問や答えられない質問は、考えていればいいだけです。(抜粋)

16 聞き上手には上下関係なし

聞き上手な上司

日本社会に多い「年功序列」では、順序が上の人が話すことになりがちである。そのため上司などが話すばかりで聞くことが下手になる。逆に聞くことのできる人が人格者となる。上司が聞き上手になることは、グループの活性化に必須のことで、名リーダーはみんな聞き上手である。

部下主導の会話

会話には、上司主導の会話(Aパターン)と部下主導の会話(Bパターン)がある。

  • Aパターン・・・上司が話をし、部下が「そうですね」と受ける
  • Bパターン・・・部下が話をし、上司が「そうだね」と受ける。

教師-生徒、上司-部下、母親-子どもなどの会話はAパターンになってしまうことが多い。しかしお母さんの中にはBパターンの会話で夫や子供の話を聞ける聞き上手のお母さんもいる。また、Bパターンを応用して部下と会話する上司は、上手に話を引き出して、悩みごとなどの相談に載っている。

なかなか、思うように話は聞けないことも多いが、少しでも部下の話を聞いてあげるだけで、元気になる人は案外多い。また、話を聞いてもらってもなかなか前向きになれない場合は、うつ病の場合がある。

上の立場の人が聞き上手になれば、その効果は抜群です。子どもの話が聞けるのがいい親であるように、もし、子どもに問題があったり、部下に問題があって話を聞かねばならない時は、この会話パターンをより積極的にした会話を試みてください。
(抜粋)

最後にこのような会話についての参考書として、著者が書いている『母親と教師が治す登校拒否』(創元社)を紹介している。


関連図書:東山紘久(著)『母親と教師が治す登校拒否』、創元社、1984年

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