『モチベーションの心理学 : 「やる気」と「意欲」のメカニズム』 鹿毛雅治 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第3章 達成と価値―目標説(その1)
1 価値とモチベーション
第2章の最後に書いてあるように、第3章より「ミニセオリー」が解説される。第3章は、モチベーションの要因の一つである「目標」についてである。第3章では、1節で「価値」について説明した後、2節で「目標説」が解説される。さらに第3節、第4節で、目標説を「目標内容アプローチ」、「目標プロ説アプローチ」という2つのアプローチに分けて解説する。
今日のところは、まず「価値」についてである。
「価値」は、モチベーション理論の重要概念である。「価値を感じられることをやる。価値の実現のために努力する」という「価値の法則」に従って、人は行動をする。「価値」は、日々の思考や判断、行動の選択に影響を及ぼす。
人の持つ価値の体系の理論化を目指してロキーチは、価値の優先順位を判断させる手法(RVS)を提案する。RVS法では、最終価値(最終的に望まれる目的状態としての価値)と手段価値(最終的価値を達成するための手段や望ましい行動様式)をリスト化し、重要項目を選んでもらうことにより、一人一人の価値観や個人差をあぶりだそうとした。
最終価値は、さらに個人的価値と社会的価値に、手段的価値は道徳的価値、能力的価値に区別される。
著者は、価値は要求(~したい)と同義語でないと注意を与えている。
価値に基づくモチベーションは「~重要だ」とか「~すべきだ」といったその人自身の考え、つまり、個人的あるいは社会的に望ましいとか意義があるといった「信条」の反映なのである。・…中略・・・その意味で単なる要求によるモチベーションとは異なっている。
ここから「今、ここ」にある課題についてのモチベーションについて、「課題外生的価値」、「課題内生的価値」という概念を使って検討している。
- 「課題外生的価値」とは課題の内容や性質と直接関係のない価値であり
「自我関連価値」、「報酬関連価値」、「対人関連価値」に分かれる。 - 「課題内生的価値」とは課題の特性と不可分な価値であり
「興味関連価値」、「実用関連価値」、「文化関連価値」に分かれる。
このような内生/外生価値の6分類は、達成行動のモチベーションの説明やその個人差の理解に適用できる。
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