『モチベーションの心理学 : 「やる気」と「意欲」のメカニズム』 鹿毛雅治 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第2章 モチベーション理論の展開(その1)
1 やる気はどのように説明されてきたのか
第1章では、モチベーションについて概説するとともに、伝統的なモチベーション理論(「動因、誘因モデル」、「接近 - 回避モデル」、「場モデル」など)について解説された。これを受けて第2章では、「外発的/内発的動機づけ」、「欲求理論」、「期待×価値理論」などのグランドセオリーについて紹介している。今日のところは、導入として、『Drive』(邦題『モチベーション3.0』)に沿ってモチベーションの歴史が概説される。『モチベーション3.0』では、モチベーションをOSに例えて語られている。
モチベーション1.0
これは、「人間は生物的な存在であり、生存のために行動する」という考え方で、人間は生きるためのモチベーション1.0を生来的に備えているとしている。
これに対応する心理学理論が本能論である。ここで本能とは、「ある刺激をきっかけとした衝動や反射を通して、特定の目標を指向した定型的な行動を生み出す先天的な能力」である。
20世紀の初めにマックドゥーガルにより本能論に根差すモチベーション理論が提唱され活発に研究された。しかし、本能の種類が6000種を超える事態になり、説明の名に値しないと無視てられることになる。
モチベーション2.0
これは、「報酬を求め、罰を避ける」という考え方に根差している。これは産業革命以来の技術開発と経済繁栄に重要な役割を果たす。
これは、今日においてもやる気を生み出す理論として広く浸透している。しかし、ピンクは、これには重大な「バグ」があると主張している。
期待するほどの成果が得られないどころか、望ましくない結果も生み出してしまうことがわかってきて、その欠陥も目立ってきたという。むしろ現代においては、賞罰に一喜一憂するのではなく、新たな価値を見出したり、主体的に考えて自主的に行動したり、型にはまらない独創的な発見に喜びを感じたりするような人材こそが求められており、もやは<モチベーション2.0>は、時代遅れであり、今日のビジネスモデルに対応しないというのだ。(抜粋)
モチベーション3.0
これは、「人間は学びたい、創造したい、世界をよくしたいという第三の動機づけがある」という考え方に根差している。これは、人と環境のあり方に関する発想に大転換をする「発明」とピンクは主張するが、著者は、モチベーション研究とその歴史を単純化しすぎていると注意をしている。
モチベーション理論は、バージョンアップのように新旧がガラッと入れ替わったわけでなく、複数の学説が影響を及ぼし、修正されたり、統合されたりしながら形成されてきた。
本章では、その理論の多様な展開について説明しよう。(抜粋)
関連図書:
ダニエル・ピンク (著)『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』、講談社(講談社+α文庫)2015年
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