『ネガティブ・マインド : なぜ「うつ」になる、どう予防する』 坂本真士 著
[Reading Journal 2nd:読書日誌]
第4章 ネガティブ・マインドの調節
4.4 機能型の自己注目に変える(後半)
前半を受けてここから推論の誤りによりネガティブな方向に歪んだ認知を矯正するために、どのようにポジティブな反論を探すかについて解説されている。
ポジティブな反論がすぐに見つからない場合は、他人に視点から自分の問題を考えることが役立つ。つまり、「あの人だったらどう考えるだろう?」と問題を客観化するのである。
また、頭の中で考えているだけではうまくいかない場合は、紙に書き出してみるのも良い方法である。
その際、他人の視点に立って自分に声をかけるために、問題点を事実に絞って客観的に整理することが重要である。(抜粋)
実際に体を動かす手法として、ゲシュタルト療法で「エンプティ・チェア」と呼ばれる方法もある。
ここで、ネガティブは思考の根拠を探すために、認知療法で用いられる「コラム法」の詳しいやり方が載っている。
また、ネガティブ思考の妥当性を考えるために、「仮にその考え方が妥当だとした時に、どんなことが起こるか」を「思考実験」をする方法もある。ネガティブに考える人は、良くないことを過大評価する傾向があるが、その思考実験と現在の状態を比較することにより、最初の考えがネガティブに歪んだ考え方だったことが分かる。
本節では、機能型の自己注目にするために、自分の思考そのものについて見直してきた。ところが、この自分の思考についてメタ認知、すなわち、考え方について考え直すという作業には、それなりの努力が必要であり、ふとんの中でぼんやり考えるようなやり方で身につけることは難しい(抜粋)
メタ認知は、それなりの努力が必要である。ここより、メタ認知がうまくいくようになるためのポイントを示す。
- 体を休める: メタ認知は頭を使う作業であるため、作業を円滑に行うためには、体を休めることが重要である。この時に、悩みやストレスに関して考えていては意味が無いので、環境を変えたりするのがよい。また、睡眠は十分にとるように心がける。
- 紙に書き出す: 思考は浮かんでは消えていくため、効果的にメタ認知するためには、紙に書き出すことが効果的である
- 時間を区切る: 機能型の自己注目をしていても、いつの間にかネガティブ思考になることもあるので、集中して1時間なり1時間半なり時間を区切るのがよい
- 自分をプログラムする: ぐるぐる思考になった時に思考を停めるために、「ゴムパッチン法」を活用するのも良い。「ゴムパッチン法」とは、常に手首に輪ゴムをはめておき、落ち込んで自己注目から抜け出せなくなった時に、「パチン」して気をそらす方法である。
- 人と接する
次に「人と接する」として、長文の解説がある。
機能型の自己注目と機能不全型の自己注目との違いに関連するものとして、他者との接し方がある。(抜粋)
として、機能型の自己注目をする人は、他者にオープンであり、相談をしたり、自分の考えを人に話して意見を聞くことができる。そして、
人とのつながりをもつ際に、肝心なことは「自己開示」(self-disclosure)である。自己開示とは、聞き手に対してなんら意図(たとえば、弱い人間だと思われたいうような意図)をもたず、誠実に自分自身に関する情報を伝えること、およびその内容を指す。(抜粋)
としている。
- 環境を変える: 転地療法という言葉あるように、環境を変えることも一つの手である。
人の心身の健康も、状況や環境と切り離して説明することはできない。環境を変えることも、感情をコントロールするための重要な手段の一つである。(抜粋)
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