ギ・デ・カール
ジャン=ルイ・ド・ランビュール 『作家の仕事部屋』 より

Reading Journal 2nd

『作家の仕事部屋』 ジャン=ルイ・ド・ランビュール 編
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

ギ・デ・カール – 小説はラファイエット百貨店のようなものです

ギ・デ・カール(Guy des Carss)は、公爵を父にチリ大統領の孫娘を母に持つフランスのベストセラー作家である。発表された小説の売り上げの良さや社会現象といってよい。しかし、批評家によっては、凡俗なファシズムに加担する危険な作家という厳しい評価を下している。

自身の小説について

小説というのは、ラファイエット百貨店のようにいつでも何かが起こっていなければならない。そのため、ひとつの描写に十頁も使うことはできず、物語が始まるまでに百頁も使うことは許されない。話の筋にすぐに飛びこまなければならない。

そして一旦、話が始まったら読者を飽きさせてはならない。

私のコツのひとつは、主役の知らに秘密を読者にばらしてしまうことです。たとえばデュポン夫人に愛人がいると仮定しましょう。それを知らないデュポン氏がドアを開ける。すると読者はこう考えますーーー「これからなにが起こるか、私にはわかってる」。しかしそこで読者が予見したこととは正反対のことが起こらなければならないんです。つねに。ようするに《ギョエル》[風刺人形劇]ですよ。(抜粋)

また、読者を疲れさせないために、物語の風通しをよくして、白い部分を多くする。私は、登場人物が喋りはじめるたびに、改行している。ただし、話が変わったと読者が思わないためにコロンはたくさん使う。そのような視覚的側面も重要である。

私の原則は、読者が本を買いに本屋に行くだけで、それがすでに苦労なのだということです。ですから、そのうえ読むのに苦労するとすれば、それは作品が駄目だということなのです。(抜粋)

小説のプラン

小説を書くときは、何よりも構築を重視する。きちんとしたプランをたて、書きだす前に鋳型がきちんと締め上げられなければならない。

私の方法は、自分がなにを狙っているか、自分の書物の重さや釣り合いがどんなものかを正確に把握しない限り、決して書き出さないことです。(抜粋)

まず、自分に自分の物語を語りきかせることから始める。その行為を、十五分で全体を要約できるようになるまで何回も繰り返す。そして、書物のさまざまな部分を書きとめ、非常に簡単なプランを作り寝かせてしまう。そして、各部分を一つずつ肉付けをしていき最終プランを作っていく。

そのようなプランを一つの小説についていくつも作った後に、各プランを融合したものを長い時間をかけ作り出す。そして一旦決まったらあとは何一つ変えることなく、プランに沿って書き上げる。

主題の選び方

主題については、まず自分にとって楽しくなければ、他の人たちを喜ばせられるはずがない、と思う。そして、自分が興味を引くのは、これまで一度も取り扱われていない主題である。そして一見突飛なことをとりあげ、それをいかにもありそうなことにする。そのようなことが出来るためには、読者をひたすら説得しなければならない。そのため読者には明確かつ正確なものを与える必要がある。

そのため、いつも綿密な調査をしている。スポンジに水を浸すように、一連の文献に浸りきり、たっぷりと材料を吸いこんでいく。そして書き進めていくときに技術的な問題が起こるたびにそのスポンジから必要な分だけほんのちょっと垂らせばよい。しかし、そのためにメモを取るようなことはしない。幸い私は像のような記憶力に恵まれている。

どのように執筆するか

書いているときは、パリを離れず、食事は一日一回、車も使わず、週末の休みも取らない。毎日十時半から六時まで仕事をする。そしてその後は顔を剃って風呂に入って、仲間と出かけて気分を変える。

文章は、書物に一種の連続性を与えるように努力をしている。

週に二度、月曜と金曜の夕方、秘書がタイプしたものをもってきます。三十頁ほど、それぞれ三部。毎夕、風呂のまえに、最初のコピーを読み返し、手を入れます。横になるまえ、それが朝の二時だろうと三時だろうとお構いなしに、二通目のコピーを取り出し、最初の訂正をなお改善しながら引き写します。そして最後に、朝、書きはじめるまえに、三通目のコピーをとり出して、同じような推敲を続けます。(抜粋)

コメント

タイトルとURLをコピーしました