新しい世界
エルンスト・H・ゴンブリッチ 『若い読者のための世界史』 より

Reading Journal 2nd

エルンスト・H・ゴンブリッチ 『若い読者のための世界史』
[Reading Journal 2nd:読書日誌]

二七 新しい世界

今日は第27章。「新しい・・・」の2つ目(ココ参照)。1つ目「新しい時代」は、ルネッサンスであった。2つ目の「新しい世界」は、どうやら新大陸の発見コロンブスの話のようである。

著者は、いままで世界史と呼んでいたものは、およそ半分の世界の歴史であったと話を始める。古いヨーロッパの西の方にある無限かもしれない大海原にあえて向かった人はいなかった。そして、そのような冒険が可能となったのは、磁石(コンパス)の発明による。

ジェノヴァ出身の貧しい、しかし冒険心と名誉欲に燃えたひとりの若者がいた。古代の地理書に読みふけっていたコロンブスという名のこのイタリア人は、一つの考えにとりつかれていた。大地は丸い、それは球なのだ、古代の多くの本にそう書かれている。ならば、どこまでも西へ西へすすめば、最後には東につくはずだ!(抜粋)

そうすれば、東の端の中国やインドに陸路を行くよりも早く着くことができ、そこで、黄金、象牙、めずらしい香料を手にすることができる、と考えた。彼はスペインに向かい、彼の計画を支援してくれる人を探した。そして、苦難のすえカスティリアの女王イザベラ(イザベル)の支援を取り付けた。コロンブスは、一四九二年八月五日に大西洋を西に向かって船出する。そして一四九二年十月十一日頃に、島を発見した。彼はインドについたと考えたが、しかしそれはアメリカの近くの島であった。彼はこの土地をスペイン王の所有と宣言した。コロンブスがスペインに帰ってきた時、大変な騒ぎで歓迎された。しかし、彼は、その名誉欲と傲慢さ、強欲で世間離れした性格のため嫌われ、ついに王は、彼を逮捕し鎖につないで故郷へ送り返した。彼は恩赦をうけ再び名誉と富を回復したあとでも、手元にこの鎖を保管していた。

アメリカにやってきた人たちが望んでいたものは、ただ黄金であった。かれらは、黄金とためならばいかなる危険のおそれず、どのような手段もいとわなかった。その征服者のひとりフェルナンド・コルテスはすさまじい名誉欲にとらわれ陸の内部へと入り宝物を奪おうとした。一五一九年彼は一五〇人のスペイン歩兵、十三人の騎兵、数台の大砲と共に海岸を出発する。彼らばインディオの住民を殺し村に火を放った。やがて彼のところに有力な王モンテツマ(モクテスマ)から使者が来て黄金と首飾りの贈り物を持ってきた。彼らはコルテスらに引き返してもらうことを頼んだが、さらに貪欲になったコルテスらは、王の国まで案内させる。そこは、メキシコと呼ばれヨーロッパの最大の都市にも引けを取らない立派な都市であった。

コルテスは、この権威ある支配者をはかりごとで逮捕した。モンテツマは、あまりの非礼と無恥にただからだをふるわせるだけであった。彼は、白い侵入者に対して何もできなかった。とうのは、メキシコにはいつの日か太陽の息子たち、白い神々が、国を盗るために東からやってくるという古い伝説があったからだ。人びとはスペイン人をこの白い神々とみなしたのだ。(抜粋)

そして恐ろしい暴動が起こり、殺戮が始まった。コルテスたちは狂った都を抜けだし生きて海岸までたどり着いた。そして、彼らは新しい兵を連れて取って返し、都市のすべてを焼き払った。このようにスペイン人はメキシコだけでなく、アメリカの他の地でも身の毛のよだつやり方で、伝統のある文化を持つ原住民を根こそぎにすることを始めた。

スペイン人がこのようなことをしている間に、ポルトガル人は、インドに向かう本当の海路を発見した。そしてインドで彼らはスペイン人がインディオのもとで行ったことに劣らぬ暴虐の限りを尽くした。彼らもまた黄金が欲しかたのだ。

インドとアメリカからの黄金はヨーロッパの貨幣をふやし、そのけっか市民はますますゆたかになり、騎士と地主はますます貧しくなっていった。なかでも、船は西に向かい西から帰ってきたから、ヨーロッパの西海岸、スペインだけでなくフランス、イギリス、オランダの港はさかえ、その重要性をました。ドイツは、この海の向こうの征服に参加しなかった。当時のドイツは自分のことで手がいぱいだったのだ。(抜粋)

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