「激増する「いらない相続」」(その1)
牧野知弘『負動産地獄』より

Reading Journal 2nd

『負動産地獄 その相続は重荷です』 牧野知弘 著
 [Reading Journal 2nd:読書日誌]

第1章 激増する「いらない相続」(その1)
   相続の現状とこれから
   「普通の家族」が「いらない相続」に悩まされる
   団塊世代の後期高齢者入りは相続激増の号砲
   一次相続、夫が残した余計な家で途方に暮れる妻たち
   これから増える二次相続課税世帯の憂鬱

まずは第1章。ここでは、相続についての概説と不動産の相続に起こっている問題についての概説である。相続や不動産についての一般的な知識や現在のデータ、そして、これから起こる事態などが書かれている。


まず著者は、現在のどのくらい相続が発生してそのうち課税件数がどの程度の割合であるかから話を始めている。
先ず相続の件数は、2019年の死亡者数(相続数)は、138万人でそのうち11万5千件でおおむね8%強であるとしている。

次に「課税計算の方法」についての概説がある。

「課税遺産総額」= 相続税課税価格(財産を評価した額)-基礎控除額
である。そしてここで、
「基礎控除額」= 3000万円+600万円×法定相続人数
である。
そして、配偶者が存命の場合は、
配偶者特別控除枠 = 1億6000万円
があるため、多少資産があっても1次相続に際しては税金の心配はない
そして、相続税の課税対象となった財産の内訳をみると、不動産の割合は4割に及ぶ。

実は相続税の課税対象になる、ならないは別として、この不動産、今後は相続においてこれを受け継ぐ人(相続人)に大きな負担を課すことになりそうです。本書の狙いはこの相続してしまう不動産のお話です。(抜粋)

相続の現場で起こっている問題

次に相続の現場で最近起こっている問題について書かれている。
それは、「現金を相続したい、親の家はいらない」というものだという。親の家を子供たちが全員で共有相続する場合もトラブルのもとである。
誰も使わない不動産であっても固定資産税などの税金がかかり、修繕費などのメンテナンス費なども必要であるため相続が敬遠されている。

団塊の世代の2次相続の問題

次に団塊の世代が残した不動産の2次相続を考える。まず1次相続との違いであるが、1次相続の場合は、配偶者特別控除枠 (1億6000万円)に加え、配偶者が被相続人と住んでいる自宅については、小規模宅地等の特例によりほとんどは財産評価額の80%を減額される。そのため、1次相続の場合はまず税金の心配がいらない。
しかし、2次相続では、核家族化の影響もありあっという間に相続税が掛かってしまう。今後都内で発生する相続税対象世帯数は2倍になるという試算もある。

二次相続はそういった意味では、相続人にとって親や代々の資産を受け継ぐことを強烈に意識させる相続なのです。特に少子化が進み、相続人自体の数が少なくなっていくこれからの社会で、悩みの多い、憂鬱なイベントともいえるのです。(抜粋)

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